キャリアを知る—03 30代社員×レジェンド社員キャリアを知る—03 30代社員×レジェンド社員

キャリアを知る—03 30代社員×レジェンド社員

小売業は経済活動の原点。商品をお客様に届ける最終ランナーとして“信頼”のバトンをつないでほしい

東急ハンズにはレジェンド社員として活躍する50代社員がいます。この社員は、社内で実演販売強化の必要性を強く提唱し「ヒント・ショー専任スタッフチーム」を立ち上げるなど、その歩んできた道は一つのキャリアの理想形です。入社7年目の社員に送るメッセージの中からは、今後のハンズ人生においてこの上ない「ヒント」を得ることができました。

加藤 融 Katou Akira

1983年入社
店舗サポート部
スタッフサービスPT
ヒント・ショースタッフ育成管理
教育学部 地理・歴史専修卒

27歳の時、中途採用で東急ハンズに入社。渋谷店のクラフト売場で見本づくりや実演販売で記録的な売り上げを実現した。その後、新店オープンや管理課業務などに携わり、2013年には「ヒント・ショーチーム」を立ち上げ、そのスタッフ育成に尽力するハンズの接客の神様。

齋藤 幸男 Saitou Yukio

2007年入社
外商部 主任
工学部・経営工学科卒

新宿店で文房具、バラエティフロア、トラベルフロアをそれぞれ2年間担当。現在は外商部で法人向けのノベルティ提案などを行っている。最近長男が生まれたばかりの新米パパ。趣味はスノーボード。

会社の目指す方向に自分の「夢」があった

店舗での実演販売を手掛けるヒント・ショーチームのリーダーである加藤さんは、東急ハンズの中でも接客の神様的な存在です。今日はそんな加藤さんと対談できるということで、いろいろ伺いたいと思って参りました。まずは加藤さんの入社のきっかけから教えていただいてもよろしいでしょうか?

入社したのは1983年です。東急ハンズの黎明期で、入社した翌年に池袋店ができました。もともと美術大学に通いたいと思っていた私は、まるで美術室のようなハンズの売り場に憧れていたのです。でも、正直にいうと、ここまで長く小売業で働くとは、自分でも思っていなかったんですよ(笑)。

そうなんですか!? 

ええ。どうして、ここまで勤められたかなと改めて振り返ってみると、東急ハンズが目指す方向性と、自分がしたいことが重なっていたからなんです。私が最初に任されたクラフト売り場では、陶芸や木彫、彫金などの見本が必要でした。それは私がつくりたい物だったし、つくれる物だったわけです。だから、楽しかった。

仕事をする時に、大切なのは“I will”という意欲や願望、希望と、“ I must”という役割、使命、義務、そして、“ I can”という能力、知識、知恵の3つが重なること。これが重なると仕事は楽しく充実したものになるのです。チームの仲間が悩んでいる時も、3つの中で何が欠けているのかな? と考えると解決方法が見えてきます。

会社の目指す方向と自己実現が一致することが大切なんですね。

そうならないと仕事がつらいですよね。その点、東急ハンズは、社員一人ひとりの裁量権が大きく、いろんなチャレンジを受け入れてくれる風土があるので、3つを重ねやすい会社だと思いますよ。

商品は「売る」のではなく、「価値を伝える」

加藤さんが立ち上げたヒント・ショーチームなどは、先ほどお話いただいた“I will”“ I must”“ I can”の3つが見事に重なって生まれたんだと思います。立ち上げた時のお話を聞かせていただけますか?

いま小売業の中で、店舗はショールーム化しているといわれています。店舗で商品を見て、ネットで安値のところを探して購入する。そんな中で、いかに店舗の魅力を高めていくかと考えた時に、小売業の原点である「人が人におすすめする」という実演販売が大切だと思ったのです。東急ハンズに行くと「この商品を使うと、こんな便利がありますよ」「試してみてくださいね」ってやっていて、新しい発見があれば、お客様にとって面白いですよね。

実演販売というと、これまではメーカーの方がやってくださるのが一般的でしたね。そんな中で加藤さんは、第三者的な立場で商品をおすすめできる東急ハンズ独自の実演販売チームを立ち上げたということですね。

はい、そうです。メーカー様主導の実演販売は、その会社の商品は売ってくれるけど、他社メーカーの商品は基本的には売ることはしません。お客様からお問い合わせがあり、AかBの商品かで迷った場合、どうしても自社商品をおすすめしてしまうわけです。それは本当の意味でお客様のためになりません。ならば第三者的な立場で商品をおすすめできる実演販売チームをつくろうと思ったのです。このような経緯で生まれたヒント・ショーのチームなので、メンバーには「売ろうとしなくていいよ」と伝えているんです。

実演販売チームで「売らなくていい」って言われたら、ちょっとびっくりしますね(笑)。

そうかもしれません(笑)。でも、「売ろう」とすると見え見えで、お客様は警戒するだけです。そんなことよりも、この商品を通じて、お客様にどんなハッピーな未来が待っているのかをきちんと伝えることが大切です。その結果が売上につながるのです。齋藤さん、2・6・2の法則ってご存知ですか?

2・6・2の法則? 知りません。教えてください。

10人のお客様がいたら、そのなかの2名は買おうと思って来店されているお客様。6名は、買うか買わないか決まっていないお客様。そして、残りの2名は何があっても絶対に買わないお客様です。この6名のうち1名でも何か買ってくださったら、3割のお客様が買ってくださることになります。イチローだって打率3割です。それで十分、優れた店舗になるのです。

10名のお客様に、皆買ってもらおうと思っても無理な話ですよね。10人のうち1人でもお客様が増えたら、それで十分。こう考えると、すごく気持ちが楽になりますね。

信頼こそがネットに勝る最大の価値

ここまで先輩ということでいろいろお話させていただきましたが、齋藤さんは私がいうまでもなく、素晴らしい接客をされていますよね。

え?

実は齋藤さんが新宿のトラベル用品売場にいらした時、一度、客としてお世話になったことがあったんですよ。息子がフランスに旅行するというので、妻と一緒に海外用のプラグと変圧器を買いにいった時、接客していただきました。両方買うと4,000円くらいするのですが、その時、齋藤さんは「このドライヤーならもっと安くて、海外用のプラグもついていますよ」と教えてくれたんです。これは嬉しかった。

あの時のお客様でしたか! 思い出しました。

はい(笑)。齋藤さんは、店の利益より、お客様のためにいいと思うことを率先してやれくれたわけです。お客様は、そういう人を信頼しますよね。この信頼こそが、ネットショップが台頭している時代にリアル店舗がネットより優る最大の価値なのです。

ありがとうございます。接客の神様に褒めていただけるなんて、感激です。

小売業は経済活動の原点です。一つひとつの商品で動くお金は小さいかもしれません。しかし、その商品が売れなくては、お金は動きません。そして、ここに至るまでに、商品を企画する人がいて、つくった人がいて、営業した人がいて、運んでくれた人がいる。私たちはその商品を任された最終ランナーです。私たちがこの商品をお客様に届けることで、ここまで関わってきた人たちの情熱がやっと実を結びます。だから、転ぶわけにはいきません。これまで通り、信頼を大切に毎日のお仕事をがんばっていきましょう。

はい! 信頼のバトンをしっかりつないで行きたいと思いますっ。

就職活動生のみなさんへ

※内容はすべて取材当時のものです。